小児耳鼻咽喉科
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原著
発達性ゲルストマン症候群の一例
益田 慎長嶺 尚代福島 典之
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2014 年 35 巻 1 号 p. 40-45

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抄録

  発達性ゲルストマン症候群は発達障碍の 1 つで,書字困難と計算困難から重篤な学習障碍に進展する可能性がある。今回,4 歳から10歳までの間経過を追うことができた発達性ゲルストマン症候群の男児を経験したので症例報告する。当科初診時には本例の語彙は少なく,人物画が描けないことが特徴的であった。就学前の 1 年間に言語聴覚療法を実施したところ,語彙は増え読字は可能となったが,書字は困難であり自分の名前すら平仮名で表記することはできなかった。また就学時に 5 つのものを数えることができなかった。就学後すぐに学習に支障をきたしたが,学校現場が学習困難を発達性ゲルストマン症候群と結びつけて認識したのは 9 歳のときであった。本例の経験上,発達性ゲルストマン症候群を早期に診断し,学校現場に障碍特性を理解してもらう上で,人物画検査は有用であった。

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© 2014 日本小児耳鼻咽喉科学会
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