2014 年 35 巻 1 号 p. 46-50
先天性中耳真珠腫は,鼓膜所見において本邦では後上象限(以下 PSQ)に多いとされている。我々の施設で経験した 3 歳未満の先天性中耳真珠腫10症例において 8 例が前上象限(以下 ASQ)に限局した症例であり多い傾向であった。また,ASQ に限局した 8 例のうち概ね 3 mm 大の症例が 5 例と半数を占めていた。手術方法は,原則完全摘出を目的とし鼓室形成術を行うべきであると考えるが,ASQ に局在した概ね 3 mm 大の真珠腫に対しては,鼓膜切開で経鼓膜的に摘出を行っている。局在した先天性中耳真珠腫は比較的低侵襲で摘出できることを考えると,早期発見,早期治療が重要であると考える。