小児耳鼻咽喉科
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シンポジウム 1—小児胃食道逆流症をめぐって
Laryngopharyngeal reflux disease(LPRD)咽喉頭酸逆流症について
渡邊 雄介
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2014 年 35 巻 3 号 p. 185-188

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抄録

  胃酸逆流によって引き起こされる疾患群は GERD (gastroesophageal reflux disease)という疾患概念の中で診断され治療される。欧米では古くより胃酸逆流と下咽頭,喉頭疾患との関連は指摘されており,その関係を記した報告も数多くなされている。本邦では,1995年咽喉頭酸逆流症に関する報告は著者1)の報告が最初である。最近では GERD の中でも特に耳鼻咽喉科領域の症状を訴えるものを LPRD (laryngopharyngeal reflux disease),日本語で「咽喉頭酸逆流症」(第 4 回 GERD と咽喉頭疾患研究会 新美成二会長 当時)と呼んでいる。平成16年度日本耳鼻咽喉科学会認定専門医試験問題で GERD に関する出題もあった事は特筆すべき事である。実際の胃酸逆流に関連した耳鼻咽喉科領域の主な症状,疾患として,1. 咽喉頭異常感(globus sensation) 2. 嗄声 3. 慢性の咳嗽 4. 耳痛 5. 喉頭肉芽腫 などが挙げられている。耳鼻咽喉科領域において胃酸逆流の存在は見過ごされがちであったが,GERD の治療をすることにより症状が軽快する症例が存在することは明らかであり,耳鼻咽喉科医であっても胃酸逆流を念頭におきながら診療にあたることが重要であり,さらに患者の QOL 向上につながると考える。

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© 2014 日本小児耳鼻咽喉科学会
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