小児耳鼻咽喉科
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シンポジウム 1—小児胃食道逆流症をめぐって
小児における胃食道逆流症とその発現:特に生命形態学的背景について
三枝 英人
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2014 年 35 巻 3 号 p. 189-195

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抄録
  近年,成人において胃食道逆流症の発症率増加が問題となっている一方,過去に既往の無い,今迄健康と思われていた小児への胃食道逆流症の発症が指摘されている。小児における胃食道逆流症は,喉頭痙攣や喉頭狭窄などの重篤なものから,執拗な咳払いや姿勢異常など心理的反応と誤診され得るものまであり,注意が必要である。一方,その対策は,単純に胃酸分泌を抑制すれば良いというものではなく,小児の成長,その後に続く人生への影響まで視野に入れて行う必要性がある。生活指導,食事指導が極めて重要となる一方,成長期,思春期を迎える小児に対し如何に指導を徹底し,遂行させるかは極めて難しい問題でもある。「子供は社会の鏡」であり,何らかの現代社会の問題点が,その発症の根底にあると考えられ,今後社会全体で取り組むべき問題となり得るものと危惧する。
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© 2014 日本小児耳鼻咽喉科学会
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