2014 年 35 巻 3 号 p. 202-206
小児の反復・遷延する中耳炎症例に胃食道逆流症が隠れていることは知られていない。今回自験例を中心に胃酸逆流と中耳炎の関連について報告した。症例は生後 6 週間で受診した男児で,治療に反応せず生後11カ月で噴門機能不全を主たる病因とする逆流症と中耳炎であることが分かった。3 歳を過ぎて肺炎を発症することから噴門形成手術を行ない,治癒した。小児中耳炎39例に対して,鼓膜切開後の貯留液 pH と液中のペプシノゲン 1 (PG1)定量を ELISA を用いて行った。PG1 濃度が100 μg/L<PG1≦500 μg/L の群では pH 中央値が7.7であり,これは他の群に比べて有意な差をもって低い pH であった。