2014 年 35 巻 3 号 p. 217-221
小児アレルギー性鼻炎では有病率の増加に加え,低年齢化が問題となっている。低年齢化に従い喘鳴や喘息に先行して鼻炎を発症する例が少なからずみられ,小児においてもアレルギー性鼻炎は下気道アレルギー発症のリスクファクターとなる。その診断や治療の基本は成人と同様であるが,小児特有のポイントがある。診断においては,鼻炎の診断のみならず他の耳鼻咽喉科疾患やアレルギー疾患の合併を見逃さない。治療のエンドポイントとしては,発育や学習への影響を最小にすることが重要である。薬物療法に抵抗する例や長期寛解・治癒を希望する患者にはアレルゲン免疫療法を考慮する。また重症例に対しては手術も考慮されるが,国内外を通じて小児アレルギー性鼻炎に対する下鼻甲介手術の長期的な有効性と安全性に関するエビデンスは十分ではない。