2014 年 35 巻 3 号 p. 263-269
聴覚障害乳幼児を対象に VRA (visual reinforcement audiometry)による骨導聴力測定を行った。6 症例(0~2 歳)の気導/骨導 VRA による気骨導差の推定について,他検査との整合性の観点から検討した。トリーチャー・コリンズ症候群,中耳炎併発例の 2 例においては,VRA により気骨導差が示された。70 dB 以下の感音難聴であった 2 例では,VRA による気骨導差はみられなかった。高度・重度感音難聴であった 2 例の骨導 VRA はスケールアウトを示した。骨導聴力が一定レベルまで残存していれば,気導/骨導 VRA の組み合わせにより気骨導差の有無とその程度の推定が可能であった。得られた検査結果は誘発反応・画像などの他覚的検査の所見と概ね整合しており,行動観察的手法によって良側の骨導オージオグラムを得る意義が示された。本手法と他検査とのクロスチェックは,乳幼児における伝音/感音障害の鑑別に有用と思われた。