小児耳鼻咽喉科
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ワークショップ―小児人工内耳適応基準(2014)をめぐって
小児人工内耳新適応基準における人工内耳手術の注意点
山本 典生
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2015 年 36 巻 3 号 p. 312-315

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抄録

 小児人工内耳適応基準(2014)では適応年齢の下限が 1 歳に下げられ,体重の下限が 8 kg と設定された。また,両側人工内耳装用が有用と判断された場合は否定しないとされた。これらの変更に伴い,いくつかの手術手技上留意すべき点が生じることとなった。乳児は低体重で循環血液量が少ないため,少量の出血でも問題が生じうる。乳突蜂巣の発育が未熟な症例では,骨髄からの出血をこまめに止血しながら手術を進めることが肝要である。また,乳児では茎乳突孔が外側にあるため,顔面神経損傷を避けるべく皮膚切開が乳様突起先端にまで及ばないようにしなければならない。乳児における人工内耳本体の固定のための糸を設置する際,硬膜露出の可能性があり,セルフドリリングスクリューの使用が有用である。また,両側人工内耳手術を異時性に行う場合は加熱メスの使用が有用である。さらに両側手術による前庭機能障害を避けるため,低侵襲手術を考慮する必要がある。

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© 2015 日本小児耳鼻咽喉科学会
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