小児耳鼻咽喉科
Online ISSN : 2186-5957
Print ISSN : 0919-5858
ISSN-L : 0919-5858
ワークショップ―小児人工内耳適応基準(2014)をめぐって
—両側小児人工内耳について—
吉田 晴郎神田 幸彦原 稔木原 千春高橋 晴雄
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 36 巻 3 号 p. 326-330

詳細
抄録

 小児人工内耳については2014年に適応基準が見直され,日本耳鼻咽喉科学会の福祉医療・乳幼児委員会は「両耳聴の実現のために人工内耳の両耳装用が有用な場合にはこれを否定しない」としている。さらなる聞き取りの質(Quality of Hearing)改善を目指した両側人工内耳では,初回術側の対側の音源からの言語や騒音下での言語聞き取りの改善が得られることが報告されている。当施設で両側人工内耳埋め込み術を行い,単語了解度と語音明瞭度検査が評価可能であった小児36名に対し,どのような症例に対し有効かを調べた結果からは,対側手術時年齢が低い症例や手術間隔が短い症例で両耳聴による利点が特に大きいことがわかった。今後,両側人工内耳は効果が予想され同意が得られる症例には勧められる治療であると考えられた。

著者関連情報
© 2015 日本小児耳鼻咽喉科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top