小児耳鼻咽喉科
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ランチョンセミナー 2
小児スギ花粉症の治療 —薬物治療の進歩と小児舌下免疫療法の将来への期待を込めて—
湯田 厚司
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2015 年 36 巻 3 号 p. 335-341

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抄録

 小児スギ花粉症は増加し,低年齢化している。治療薬は最近増えているが,十分でない。小児治療の変遷と問題点を概説した。現在 6 カ月児から薬剤を使用できるが,剤型と年齢での用法に問題があり,特に 6 歳と 7 歳児での用量に違いが大きく,小児の代謝は早いので投与法に注意する。多くの抗ヒスタミン薬は食事の影響を受ける。ロラタジンは空腹時服用で血中濃度が減少し,他の抗ヒスタミン薬は逆に増える。濃度の高いフルーツジュースは薬剤吸収のトランスポーターを阻害し,吸収障害を起こす。おそらく多くの薬剤で見られる現象であり,服用時の注意となる。ウイルス性鼻炎での鼻汁過多は血管透過性亢進が主体である。抗コリン作用による鼻汁抑制は少ないので第 1 世代抗ヒスタミン薬の効果は少ない。舌下免疫療法は12歳未満に保険適応でないが,我々は小児舌下免疫療法を2006年から多数例に安全に効果的に行っており,今後の小児例への展開を期待する。

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© 2015 日本小児耳鼻咽喉科学会
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