小児耳鼻咽喉科
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原著
ぺニシリンに耐性を示す A 群 β 溶血性連鎖球菌による急性鼻咽頭炎の1例
冨山 道夫
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2015 年 36 巻 3 号 p. 369-373

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抄録

  症例は10カ月,男児で39℃の発熱,鼻汁を主訴に初診した。中鼻道に膿性鼻汁を認め,上咽頭には膿付着がみられた。上咽頭より A 群 β 溶血性連鎖球菌(A 群溶連菌)迅速診断を施行したところ陽性で,A 群溶連菌感染症を疑い clavulanic acid/amoxicillin (1:14) (CVA/AMPC (1:14))を投与した。3 日間内服後も発熱が続き再診した。初診時の細菌検査で膿性鼻汁,上咽頭の膿より AMPC の MIC が 8 μg/mL を示す A 群溶連菌が検出された。白血球数33700/μL(顆粒球58%)と顆粒球優位の白血球上昇を認め,ぺニシリン(PCs)に耐性を示す A 群溶連菌による急性鼻咽頭炎と診断した。ceftriaxone の 2 日間点滴静注により解熱し,その後 tebipenem pivoxil を 7 日間投与し治癒した。本症例で検出された A 群溶連菌は薬剤感受性検査からは PCs 耐性菌が疑われたが,遺伝子解析がなされておらず確定には至らなかった。今後の A 群溶連菌の薬剤感受性を注視する必要がある。

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© 2015 日本小児耳鼻咽喉科学会
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