小児耳鼻咽喉科
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原著
先天性サイトメガロウイルス感染症スクリーニングに関する多施設共同研究結果の検討 —第1報—
本林 光雄稲葉 雄二西岡 誠川崎 洋一郎井坂 友一西尾 信哉茂木 英明大平 哲史岩崎 聡中村 友彦宇佐 美真一
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2016 年 37 巻 1 号 p. 29-34

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抄録

【目的】先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染は頻度の高い胎内感染症だが,出生直後は無症候性であっても遅発性に症候を呈する例も報告されており,臨床像は不明な点が多い。我々は先天性 CMV 感染の予後を明らかにすることを目的とし,前方視的研究を行っているので報告する。【方法】対象は我々の施設で出生した新生児3072名。新生児マススクリーニング採血時に専用ろ紙に血液を採取し,real-time PCR 法で CMV DNA を検出した。血液で陽性の場合,乾燥臍帯で CMV DNA を測定し,陽性の児を本症と診断した。【結果】8 例(0.26%)を先天性 CMV 感染と診断した。症候性は 2 例で,うち 1 例でガンシクロビル投与を行った。【考察】新生児先天性 CMV 感染スクリーニングは,本症の早期発見に有用であった。今後も研究を継続し,遅発性障害の発症率や抗ウイルス療法の有無による予後の相違について明らかにしたい。

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© 2016 日本小児耳鼻咽喉科学会
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