小児耳鼻咽喉科
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原著
後天性失語を呈し Landau-Kleffner 症候群と判明した幼児例
有本 友季子仲野 敦子金子 由佳松島 可奈小俣 卓福井 香織飯田 由紀子児玉 一男渡辺 淑猪野 真純工藤 典代
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2016 年 37 巻 1 号 p. 5-10

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抄録

 正常発達で成長していた 4 歳女児の発語が徐々に消失し,精査の結果,小児後天性失語の代表的疾患である Landau-Kleffner 症候群(LKS)の診断に至った一例を経験した。睡眠時脳波検査では棘波が多焦点に頻発しており LKS 診断の決め手となった。ステロイドパルス療法は脳波所見の改善に有効であったが,その後ステロイドや抗てんかん薬の服薬困難が続き脳波所見は再び悪化を認めた。コミュニケーションについては視覚的言語の理解は良好で,主に聾学校で指導を受けている。正常発達であった小児の発語が消失した場合,進行性や後天性発症の難聴が疑われ耳鼻咽喉科を受診する例が少なくないが,本疾患のように神経科領域の疾患に起因することもあり,小児科医との連携が正確な診断や治療を進める上で重要と思われた。

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© 2016 日本小児耳鼻咽喉科学会
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