小児耳鼻咽喉科
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シンポジウム 1―学校保健における耳鼻咽喉科医の役割
児童生徒と教員の音声障害の検討
宇高 二良高原 由衣佐藤 公美島田 亜紀武田 憲昭
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2016 年 37 巻 3 号 p. 250-255

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抄録

 臨床現場においては音声障害を訴えて受診する児童生徒やその指導に当たる教員をしばしば経験する。今回,定期健康診断を手がかりに音声障害の内でも特に嗄声を取り上げ,児童生徒の有所見率を把握するとともにその背景因子について検討した。一方,教員においては発話環境を測定し,嗄声を来す要因について検討した。
 児童生徒の音声障害は11.8%に認められた。学年別では小学校3年まで増加し,その後漸減した。女子に比して男子の方が,またスポーツ活動を行っていない児に比して行っている児の方が有意に高比率であった。スポーツの中でもサッカーや野球などの集団スポーツを行っている児で多く認められた。
 教員の発話環境測定では,他の職種に比して,教員本人の発話時間が長く,発話音圧も高値で,特に音声障害を来した教員では著しかった。また,児童生徒の発話音圧の大きさと教員の発話音圧にも関連が認められた。

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© 2016 日本小児耳鼻咽喉科学会
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