小児耳鼻咽喉科
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ランチョンセミナー 3
小児めまいの取り扱いについて
堀井 新
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2016 年 37 巻 3 号 p. 300-304

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抄録

 症例の少ない小児のめまい診療ではその原因疾患を年齢別,頻度別に理解することが重要である。小児で最多のめまい疾患は良性発作性めまい(BPV)および前庭片頭痛(VM)で,この2疾患で全体の約40%を占める。ともに発作性めまいを繰り返し,BPVは5歳以下の低年齢で見られ,その後片頭痛を発症するとVMと診断される。VMでは変動する蝸牛症状がみられる場合もあり,他の内耳疾患との鑑別が治療上の問題点となる。めまいの予防には片頭痛の予防薬である塩酸ロメリジンを,頭痛に対しては片頭痛治療薬を用いる。乳児期には難聴や運動発達遅滞から内耳奇形や小脳奇形が発見されることがある。幼児期は急性小脳炎やムンプス,ハント症候群などウイルス感染症および小脳腫瘍の好発年齢であり注意する。児童期には成人と同様BPPVやメニエール病も見られ始め,起立性調節障害が増加する。この疾患は治療上,社会心理要因の合併に注意が必要である。

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© 2016 日本小児耳鼻咽喉科学会
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