2016 年 37 巻 3 号 p. 312-317
学校の教室には教師と生徒との間の距離や周囲の雑音があるため,難聴児は補聴器や人工内耳だけでは十分な聴取が得られず,補聴援助システムの併用が必要である。以前より普通学校ではFM補聴援助システムが使用されてきたが,チャンネル干渉が生じやすい欠点があった。最近使用されるようになったデジタル無線方式の補聴援助システムは,デジタル変調方式により音質が向上し,受信器と送信器間のペアリングによりチャンネル干渉が防止できる利点がある。
我々は,「徳島県の難聴児を支える連携」を構築し,地域の教育委員会に働きかけ,難聴児が就学する学校に補聴援助システムを導入してきた。また,一側性難聴児は健聴児と比較して騒音環境での語音聴取能が低下していることを明らかにし,一側性難聴児にも学校の教室に補聴援助システムを導入している。徳島県での補聴援助システム導入の現状と実績について報告した。