2017 年 38 巻 1 号 p. 37-42
小児期に発症したアレルギー性鼻炎の罹病期間は長期にわたり,薬物の使用年数も長期になる。アレルゲン免疫療法はアレルギー性鼻炎,気管支喘息に対して自然経過を修飾する可能性があるとされる。今回アレルギー性鼻炎,気管支喘息を合併した小児に対し,ダニアレルゲン皮下免疫療法を施行した。治療後,鼻炎症状は改善し,生活の支障度も改善した。また咳症状は改善し,ピークフロー値は薬物を減量しても低下を認めなかった。アレルゲン免疫療法は,症状改善や薬物使用量の減少だけでなく,新規感作抑制,喘息発症抑制作用も報告されており,小児において治療を考慮すべき患者も存在する。現在12歳未満の患者に対して舌下免疫療法の適応はなく,皮下免疫療法の適応のみとなっているが,皮下免疫療法は疼痛があり,施行医療機関が限られており,治療できる小児は限定される。将来的には舌下免疫療法の小児への適応拡大が望まれる。