2017 年 38 巻 1 号 p. 50-55
顔面神経麻痺の原因は多岐にわたる。治療には,原因の同定が必要である。乳幼児期は先天性と耳炎性が多く,学童期以降になるとHunt症候群の割合が増加してくる。また,骨折や出血を伴わない,比較的軽微な外傷に伴う顔面神経麻痺の報告もある。後天性末梢性顔面神経麻痺の中で,小児,成人を通じて最も頻度の高いのが特発性麻痺(ベル麻痺)である。このため,小児においてCT,MRIの画像検査は検査の困難性から慎重になりがちである。今回の症例のように末梢性顔面神経麻痺以外に症状を有している際には腫瘍性病変による顔面神経麻痺も考慮にいれ,積極的に画像診断を行うことも必要と思われた。