2017 年 38 巻 1 号 p. 56-60
小児声門下異物は,気道異物の中でも稀であるが窒息の危険性があり,緊急での気道確保が必要となることがある。今回,我々はウッドチップが声門下に嵌頓し呼吸困難を来したため気管切開術後に声門下異物摘出術を施行した症例を経験したので報告する。症例は,1歳2カ月の男児。ウッドチップを口にくわえて転倒した後,息苦しそうにしていたため気道異物を疑われ当院3次救急に搬送された。喉頭評価を依頼され,診察したところ異物を声門下に認めた。診察中に補助換気を必要とする呼吸状態となり気管切開術を先行して行い,その後に異物摘出術を施行した。当院到着時,酸素投与にて明らかな呼吸困難は認めなかったが,診察中に症状が増悪しており,搬送が遅れれば救命が困難であった可能性がある。