2017 年 38 巻 3 号 p. 321-325
呼気中一酸化窒素(以下,呼気NO)は,気道上皮細胞において,IL-4やIL-13刺激により誘導される一酸化窒素産生酵素(iNOS)により産生され,好酸球性炎症,特にアレルギーを基礎とする気道炎症との関連が深い。ATSが発表した呼気NO解釈ガイドラインによると,適正治療にも関わらず呼気NO値が低下しない症例は,持続性ないし反復性の吸入抗原暴露の可能性があり,環境中の抗原量を検討する必要がある。小児喘息は,高率にアレルギー性鼻炎を合併し,「one airway, one disease」と表現されるように,鼻炎と喘息は密接に関連する。アレルギー性鼻炎を合併する喘息は,非合併例よりも重症度が高くて,コントロールが悪い。コントロール不良の重症鼻炎合併喘息児に対しては,家庭環境整備指導に加え免疫疫療法も選択肢の一つであり,免疫療法の効果判定指標の一つとして,呼気NO値は有用である。