乳幼児は,その解剖学的ならびに生理学的特性から喘鳴を来たしやすい。呼吸時に聴取される狭窄音である喘鳴は吸気性喘鳴(stridor)と呼気性喘鳴(wheeze)に分類され,一般的には上気道から気管の狭窄ではstridorが,それより末梢側の狭窄ではwheezeが聴取されるとされている。その鑑別にあたっては,乳幼児では呼吸機能などの客観的な指標が得られにくいため,まず詳細な問診ならびに聴診によって疾患を絞り込んだ上で必要な検査を行う。治療に関しては,それぞれの疾患や病態に応じた治療を行うが,喘息を鑑別するにはβ2刺激薬を吸入後に再度聴診所見や努力呼吸の程度を評価したり,吸入ステロイド薬などの長期管理薬を一定期間使用してその効果を評価する。今後は,乳幼児喘鳴のフェノタイプやエンドタイプに基づく治療法の確立が望まれる。