2017 年 38 巻 3 号 p. 372-375
ランゲルハンス細胞組織球症(Langerhans cell hystiocytosis,以下LCH)は主に小児期に見られる,異常なランゲルハンス細胞が単クローン性に増殖する疾患である。今回,難治性外耳道炎からLCHの診断に至った稀な症例を経験した。症例は4か月女児。主訴は外耳道腫瘤であった。初診時に外耳道に充満する易出血性の白色病変があり,生検する事で診断に至った。LCHは骨,皮膚,肝臓などに症状が現れ,小児科,脳神経外科,皮膚科,整形外科,耳鼻科など多くの診療科にかかり診断が遅くなる事がある。小児の難治性外耳道炎を診た際にはLCHを疑い,他病変の有無の確認,病理組織検査の提出が望まれる。その臨床像は経過観察で改善するものから,生命予後の悪いものまで様々であるため,早期に診断し,早期に小児腫瘍内科医に紹介する事も重要である。