小児耳鼻咽喉科
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原著
難聴を合併する18トリソミー症候群の聴力と補聴の検討
佐藤 梨里子工 穣宇佐美 真一
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2020 年 41 巻 1 号 p. 47-55

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抄録

18トリソミー症候群は,18番染色体全長あるいは一部の重複に基づく先天異常症候群である。先天性心疾患などの多系統異常の合併に加えて難聴症状を呈し,生存期間は短く予後不良と言われている。我々は,本疾患の難聴合併児7症例に対して補聴器装用を行った。初診時から補聴器開始までの経過,各種聴力検査に加えて家族からのアンケート調査を行った。補聴器開始時期は生後10か月から4歳であった。難聴の種類は伝音難聴と混合性難聴が混在し,CT画像検査では外耳道狭窄と耳小骨奇形を認めた。補聴器機種は4症例が骨導補聴器,3症例が耳かけ型補聴器を使用した。家族からのアンケート調査では約70%が音や人の声などに何らかの反応が認められ,半数以上の家族で補聴器装用の効果を感じられていた。難聴の診断が確定された症例には耳鼻咽喉科医として補聴器装用への導入を積極的に勧めるべきであり,成長や発達の援護になると考える。

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© 2020 日本小児耳鼻咽喉科学会
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