2021 年 42 巻 1 号 p. 16-21
原因が見当たらないのにことばの遅れを呈する2歳児をレイトトーカー(LT:Late Talker)と呼ぶが,英語圏ではその約15%が4・5歳で特異的言語発達障害(SLI: Specific Language Impairment)に至るという。SLI児は文レベルで話していても深刻な言語の問題を呈し,就学後学習の躓きにつながり,それが長期に続くことが報告されている。つまり,早期のことばの遅れは言語発達障害に至る大きなリスク要因であり,子どもの言語の問題はことばを話すかどうかでは捉えられない。そこで,言語の問題をコミュニケーションではなく,学習言語の視点から捉えた評価や指導法を提言し,評価法の一つとして,教えた効果から言語習得力を捉えるダイナミックアセスメントを,LTの経過観察の中で文法や言語習得力を育む親の言葉かけや関わり指導法の一つとして日本版Toy talk(トイトーク)を紹介する。