2021 年 42 巻 3 号 p. 249-252
小児のめまい・平衡障害の診療の特殊性として,患者本人からのめまいの性状や随伴症状を含めた病歴の聴取が時に困難であり,成人に比べ臨床検査の施行が困難であることが挙げられる。小児のめまい・平衡障害の疾患構成は成人とは異なる。小児においては成人に比べ,耳性めまい疾患の割合が低くなる一方で,小児良性発作性めまいや前庭性片頭痛が高い割合で認められる。2021年,バラニー学会と国際頭痛学会は共同で,18歳未満を対象とする,小児前庭性片頭痛,小児前庭性片頭痛疑い,小児反復性めまいの診断基準を新たに報告した。前庭性片頭痛・小児良性発作性めまいのめまい発作における,急性期の治療薬・予防薬のエビデンスレベルの高い治療法は,依然として存在せず,今後の臨床研究の発展が望まれる。