2021 年 42 巻 3 号 p. 276-280
当科では初診時から言語聴覚士が児および家族に関わっている。早期から関わることで人工内耳手術後のハビリテーションにスムースに移行していくことが出来る。大阪府下では聴覚支援に関する療育・教育機関が複数あり,児の特性,家庭の状況,保護者の教育方針を考え合わせて選択されることとなる。普通小学校での難聴児受け入れ体制の整備も進んできており,人工内耳装用児の普通小学校進学率は高くなっている。児が多くの時間を過ごす家庭や学校の環境が成長に大きな影響を及ぼすことは言うまでもなく,医療機関での関わりは限定された時間であるが,児の聴覚活用度や発達などの評価,各療育機関・教育機関と連携,保護者への情報提供,保護者の心理面でのサポートといったことを行って,コーディネーターとしての役割を果たすことが出来る。