小児耳鼻咽喉科
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特別講演
本邦花粉症患者にみられるPFAS(花粉-食物アレルギー症候群)に係るアレルゲンについて
近藤 康人
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2022 年 43 巻 3 号 p. 271-275

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抄録

特定の花粉アレルゲンに感作されると,新鮮な果物や生野菜を摂取した際にIgE抗体の交差反応によって口腔内に限局した即時型アレルギー症状を来すことがある。この病態を花粉-食物アレルギー症候群(以下PFASと略す)という。症状は通常,口腔アレルギー症候群(以下OASと略す)の臨床病型を示す。

我が国においてもカバノキ科花粉の飛散地域においてバラ科食物のPFASがみられる。一方,ヒノキ科花粉におけるPFASの原因アレルゲンはpolygalacturonaseファミリーによる報告のみであった。しかし近年,南欧でヒノキ花粉症患者にモモやオレンジのPFASが報告され,交差抗原性の原因としてgibberellin-regulated protein(以下GRPと略す)の関与が示された。そして2020年,本邦スギ花粉においてGRPが同定され,新規アレルゲンCry j 7として登録され,注目されている。

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© 2022 日本小児耳鼻咽喉科学会
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