2006 年 27 巻 3 号 p. 284-288
小児アレルギー性鼻炎の実態を明らかにしていくことは,アレルギー性鼻炎の発症,病態,治療を検討する上で不可欠である。小児のアレルギー性鼻炎の診断にあたっては,1)保護者,本人の症状の有無,その内容についての信頼性2)抗体検査の同意実施が容易ではない3)誘発テストが困難といった小児特有の問題があり,疫学調査となると診断はさらに容易ではなくなる。信頼性のある疫学調査のためには,少なくとも血清IgE抗体検査は不可欠であり,スギ花粉症では眼症状合併も症状判断に有用である。さらに長期の経過観察など高い精度が求められる調査では,IgE抗体検査に加えて十分な問診に基づいた診断が必要である。その際,鼻内診察,鼻汁好酸球検査の意義は高いと考えられる。