2008 年 29 巻 3 号 p. 62-65
小児の急性喉頭蓋炎は,我が国では成人と比べてはるかに少ないが,症状が重篤で急激に気道狭窄を起こし,呼吸困難を呈し急変しやすく早期の診断と治療が大切である.今回我々は,発症後急速に呼吸困難を呈した急性喉頭蓋炎の小児例を経験した.
症例は4歳男児.咽頭痛,瑞鳴が出現し徐々に増悪し嚥下不能となった.咽頭痛出現12時間後に近医小児科を受診し,クループの疑いで当院小児科へ紹介された.当科受診時,著明な吸気時の喘鳴を認め呼吸困難を呈していた.喉頭レントゲン上,喉頭蓋の腫脹が疑われ,喉頭内視鏡にて喉頭蓋および披裂部の著明な腫脹を認め急性喉頭蓋炎と診断した.緊急気道確保として気管内挿管を行い,抗菌薬およびステロイド治療をおこなった.治療開始後喉頭蓋・披裂部の腫脹は速やかに消退し,2日後に抜管され,入院8日目に退院となった.血液培養ではインフルエンザ菌が検出された.