小児耳鼻咽喉科
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RSウイルスと小児急性中耳炎の再燃・難治性についての検討
岩永 康成
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2008 年 29 巻 3 号 p. 87-93

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抄録

近年,急性中耳炎の発症に関わる重要な呼吸器ウイルスの一つとして,RSウイルスが報告されている.当院で2008年4月,急性中耳炎の中耳貯留液をRSウイルス抗原迅速検査キット「チェックRSV」で調べたところ,20例中16例(80%)に抗原陽性を認めた.抗原陽性例のうち5例(31%)は膿性の無症候性中耳液貯留から再燃し,うち3例は再燃時にも抗原が陽性であった.さらに,その中の1例は1カ月の間に計3回抗原が陽性であった.抗原陽性例の中には再燃し難治化する例もあり,4例に鼓膜チュービングを施行した.抗原陽性例では14例で細菌が検出されたが,薬剤耐性菌にも関わらず早期に治癒した例がある一方,薬剤感受性菌にも関らず難治化する例もあった.中耳貯留液にRSウイルス抗原が検出される急性中耳炎には再燃や難治化する例があり,急性中耳炎におけるウイルス感染の影響を検討していく必要があると思われた.

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© 日本小児耳鼻咽喉科学会
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