室内環境
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原著論文
パーミエーションチューブ法によるアセトアルデヒド標準ガスの安定的な発生条件に関する検討
青柳 玲児池田 四郎海福 雄一郎松延 邦明関根 嘉香
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2017 年 20 巻 1 号 p. 3-10

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抄録

標準ガスは,純度,濃度が予め決定されたガスであり,発生法は高圧ガス容器を利用する静的発生法および拡散管やパーミエーションチューブを用いる動的発生法に分類される。アセトアルデヒドの標準ガスは市販のパーミエーションチューブにより発生可能であるが,発生開始から1ヶ月で浸透速度が変化し,長期的な安定発生に課題が残っている。そこで,アセトアルデヒドを対象に長期的な安定発生を意図した新規のパーミエーションチューブを作製した。これを10℃,20℃,30℃に保持し流量200 mL min-1で窒素及び空気の異なる希釈ガスの条件下で連続的に発生させ,DNPH誘導体化-HPLC法で測定したアセトアルデヒドの濃度から求めた浸透速度とチューブの質量減少速度を比較した。その結果,質量減少速度は窒素中において10℃ 2320 ± 2.98 ng min-1 (k=2),20℃ 6719 ± 0.87 ng min-1 (k=2)を示した。10℃, 20℃では質量減少速度が3ヵ月間,不確かさの範囲内で一定となり,30℃では速やかに質量減少速度が減少した。空気中の浸透速度は窒素中の各温度での値と不確かさの範囲で一致した。使用後のパーミエーションチューブ内からは酢酸が検出されたが,アセトアルデヒドの発生濃度に影響を及ぼさなかった。これより,チューブを20℃以下に保持することにより,従来法より長い3ヶ月間,精確にアセトアルデヒド標準ガスを供給することが可能である。

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© 2017 一般社団法人 室内環境学会
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