理科教育学研究
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原著論文
チリメンモンスター(チリメンジャコの混獲物)の教材化と教育効果―中学校理科の第2 学年「動物の仲間」において―
佐伯 英人今村 大志松永 武水野 晃秀
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2013 年 54 巻 1 号 p. 27-36

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抄録

チリメンモンスターとはチリメンジャコの混獲物のことである。これまで,中学校の理科の授業においてチリメンモンスターを教材として用い,授業実践を通して,その教育効果を検証した事例はみあたらなかった。そこで,本研究では,中学校理科第2学年の単元「動物の仲間」にチリメンモンスターを教材とした分類活動を単元の導入時と単元末に取り入れ,実践をそれぞれ行い,生徒の意識の変容と理解の程度を調べ,その教育効果を検証した。その結果,明らかになったことは次の①~⑤である。
① 単元の導入時に行った分類活動は,生徒の興味を高めるのに有効であった。
② 単元末に行った分類活動は,「脊椎動物の特徴を知っている」という意識を高めるのに有効であった。
③ 単元末に行った分類活動を通して,「無脊椎動物の特徴を知っている」という意識に天井効果がみられた。
④ 単元を通して,「生物を大切にしたい」という意識をもち続けていた。
⑤ 単元末に行った分類活動の方が,単元の導入時に行った分類活動よりも,分類に関する理解が高いことが分かった。
これらのことは,単元の導入時の分類活動は,生徒の興味を高めるのに有効であり,一方,単元末に行う分類活動は,生徒の理解を深めることに有効であることを示唆している。

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© 2013 日本理科教育学会
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