本研究の目的は初等教育教員養成課程の学生の問題解決能力の実態を明らかにすることである。このため, 本研究では, 小学5, 6年生と初等教育教員養成課程の大学1年生の問題解決能力を比較した。まず, 問題解決能力の中でも「仮説設定力」「実験方法立案力」「結果の予想設定力」を測定できる評価問題として「植物に関する問題」「電磁石に関する問題」の計2問を開発した。そして, 小学5, 6年生301名, 大学1年生388名を対象に, 評価問題を実施したところ調査結果は次のようになった。「植物に関する問題」では全ての能力の得点が, 「電磁石に関する問題」では「結果の予想設定力」を除いた能力の得点が小学生に比べ大学生の方が有意に低かった。このことから, 初等教育教員養成課程の大学1年生は, 将来指導対象となる小学5, 6年生よりも問題解決能力が低いことが明らかになった。