2016 年 56 巻 4 号 p. 459-468
我々は平成24年の実証研究により, 中学校理科の授業において, 班に1台のiPadを配置し, FaceTimeを利用して他校の生徒と班ごとの意見交換を行わせることは, 生徒の科学的思考力・判断力および表現力を育成する可能性があることを確認した。本研究は, FaceTimeを利用して他校生徒と班ごとの情報交換を行わせることにより, 単元の学習内容に関する生徒の知識・理解に与える影響を明らかにすることで, その有効性を検討することを目的とした。学習後に実施した, 単元の内容の知識・理解を問う検査の結果およびビデオ通話で交わされた生徒同士の会話等の分析から, ビデオ通話を利用した他校生徒との協働学習は, 授業の学習課題に取り上げた内容に関する「知識・理解」を深めることに有用であることが示唆された。