抄録
本研究では, 実験計画能力のうち, 独立変数の値を設定する能力を育成するための指導方策を作成し, その効果を実践的に検証することを目的とした。生徒が独立変数の値を設定する際に, 「基準となる0の値」, 「値の個数」, 「値の間隔」, 「値の設定範囲の実現性」の4種類の要素を満たせるようになることを目指した。具体的には, 同じ文脈の中で異なる独立変数の値が設定された複数の事例を提示し, 生徒自身に4種類の要素を満たしているかどうかという観点から評価させた。この方策を中学校2年「電圧と電流の関係を調べる」の授業に導入したところ, 独立変数の値設定に関する生徒の能力は, 4種類の要素すべてにおいて高まり, この後の学習内容においても発揮できることが明らかとなった。