2017 年 57 巻 3 号 p. 223-232
本研究の目的は, 自分の考えをまわりに説明したり発表したりすることができていない児童に対して, できるようにするための話し合いの手法を開発し, それによって児童の「理科がわかる」という意識を高めることである。話し合いをキャッチボールにたとえた「思考のキャッチボール」という話し合いの手法を, 小学校の第5学年の単元「流水の働き」において実施した。児童には事前と事後で質問紙調査を実施した。その結果, 「伝えるカード」を用いた「思考のキャッチボール」という話し合いの手法により, いつも教えてしまう児童には「聞いてあげる」という「受ける」姿勢を, いつも伝えることができない児童には「何がわからないのか伝える」という姿勢を身につけさせ, 説明したり発表したりできるようになることが明らかになった。また, 自分の考えを伝えることがよくできると, 理科の学習もよりわかるという意識が高まることがわかった。