2017 年 57 巻 3 号 p. 273-280
本研究の目的は, 煮干しの解剖実習(煮干しの体内の器官を観察して調べる活動)を小学校の理科の授業で実践し, 解剖実習に対する児童の意識はどうであったのか, また, 児童がどのような器官を観察することができたのかを明らかにし, 解剖実習の有効性について議論することである。研究の結果, 明らかになったことは次の①~③の3点である。① 煮干しを使った解剖実習を通して「解剖に対する意識」がポジティブな方向へ変容した。② 煮干しを使った解剖実習では, 児童が各器官を概ね良好に認識することができた。③ 煮干しの解剖実習を実施した学級と生の魚の解剖実習を実施した学級を比較したところ, 児童の認識の程度に違いがみられた器官が4つ(腸, 肝臓, 腎臓, 卵巣・精巣)あった。