理科教育学研究
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原著論文
小学校理科授業における仮説の形成を促す指導方略
―仮説フレームを視点にアブダクティブな示唆を形成することに主眼をおいて―
安部 洋一郎山本 智一松本 伸示
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2018 年 58 巻 3 号 p. 211-220

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抄録

本研究の目的は, 小学校理科授業における問題解決場面において, 仮説の形成を促す指導方略の開発と授業実践を通したその評価である。Peirceは仮説の形成に関する推論をアブダクションと名付け, 科学的推論の過程に位置づけた。アブダクションは, アブダクティブな示唆を得る段階とそれを吟味し仮説として採択する段階の2段階で説明されている。本研究では児童がアブダクティブな示唆を形成することを促すために仮説フレームに注目した。仮説フレームは視点を共有する仮説のまとまりである。先行研究では一つの仮説フレームの仮説に固着してしまうと, 他の仮説フレームの仮説を形成することが困難となることが報告されている。本研究では他の仮説フレームの視点に気づかせるために実験素材の提示と実験方法の検討を行う活動を組み込んだ指導方略を導入した。授業実践を通した検証の結果, 実験班で話し合い実験方法を検討する活動を通してアブダクティブな示唆が吟味され, 実験を通して検証するための仮説が採択された。また, 指導者によって実験素材が提示され実験方法の検討が促された以降には, それぞれの実験班が形成したアブダクティブな示唆の数は増加した。このことは導入した指導方略が, 生徒の仮説形成の思考において他の仮説フレームへの気づきを促進したことを表していると考えられる。

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© 2018 日本理科教育学会
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