理科教育学研究
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原著論文
小学生の理科学習における図的表現に対する認識の特徴
―言語的表現に対する認識との比較に基づいて―
内ノ倉 真吾北原 深志下古立 浩
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2018 年 59 巻 2 号 p. 217-227

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抄録

本稿では, 小学校第6学年の児童を対象として, 理科学習における言語的表現・図的表現に関する質問紙調査を実施し, ラッシュ分析等を通じて, 小学生の図的表現に対する認識の特徴を探った。第一に, 今回開発した図的表現に関する質問紙調査(29項目)は, 多値ラッシュモデルに従うことが確認された。なお, 調査対象の男子と女子の間には, 統計的な有意差は確認されなかった。第二に, 小学生の図的表現に対する認識については, 次のような特徴が認められるのであった。図的表現に対する態度に関して, 理科学習の一つとしての図的表現の活動は, 言語的表現と比べて, 図的表現の方が好きだと感じていた。また, 言語的・図的に表現することの大切さを認めている一方で, それらの表現には有能感を感じていない傾向が認められた。図的表現のわかりやすさの評価に関して, 図的表現の構成者によらず, 図的表現はわかりやすいと評価する傾向が見られた。図的表現を通じた学習の関与に関して, 図を使って, 自然の事物・事象の仕組み・様子や自分の考えを表現することについては, 言語的に表現することと比べて, 自分が取り組んでいる学習活動としては認識されていなかった。図的表現を用いたコミュニケーションに関して, 図を用いて, グループで話し合うこと, ものごとの仕組み・様子や自分の考えを伝達すること, 他者から説明を受けることについては, 当該児童にとっては, 取り組んでいる学習活動として最も認めにくいものであった。これらのことを踏まえて, 小学校の理科学習における図的表現の活動への示唆として, 図的に表現することを学習することと, 社会的な実践として図的表現を学習し, その有用性が実感できることの必要性を指摘した。

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© 2018 日本理科教育学会
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