理科教育学研究
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原著論文
理想化された物理概念の指導
―現実との連続性を意識した実践とその検討―
仲野 純章
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2018 年 59 巻 2 号 p. 277-284

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抄録

物理学では理論的モデルに基づいて様々な現象を説明しようとし, その理論展開の中で用いる物理概念は, 基本的に理想化されている。物理教育現場では, このように理想化された物理概念を, いかに現実の具体的事象と対応させながら学習者に理解させるかが重要な課題である。本研究では, 物理概念の代表例として質点を取り上げ, 学習者の納得性向上に寄与する指導法について, 授業実践を行いながら検討した。授業実践では, 一定質量の紙製箱型の大きさを段階的に縮小していった際の自由落下に要する時間の変化を計測, グラフ化させた。その上で, 得られたグラフから質点の落下時間を推論し, 理論値との整合性を確認させた。計測実験から推論された値の平均値は, 理論値から5%前後のずれに抑えられており, 実測データから理論値を導出できることが確認された。そして, こうした一連の活動後, 学習者全体の質点に対する納得性が有意に向上することも確認された。本研究を通して, 条件を段階的に物理概念に近づけ, それに伴い結果が理論値に向かって変化していくことを観察することで現実と物理概念の整合性を認識させる, という物理概念の新たな指導法を提起できた。

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© 2018 日本理科教育学会
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