問題発見から仮説設定に至るまでの過程は発見の文脈と呼ばれ, 従来, その指導や評価があまり重視されてこなかった。そこで本研究は, 理科教育の「発見の文脈」における評価の必要性や, 当該過程における評価方法の問題点を明らかにすることを目的とし, 先行研究における評価方法を分析した。その結果, 発見の文脈においても評価の必要性が主張できること, 先行研究における発見の文脈の評価は, ①想起数の評価, ②論理性の評価, ③検証可能性の評価, ④能力の評価の4種類に分類できることが明らかになった。また, 各評価方法には, 指導方法に還元されない評価である(①), 思考過程を考慮していない(②), 正当化の文脈へ方向付けられた評価方法を発見の文脈に適用している(②③), 学習者が検証可能性を判断することが困難である(③), 発見の文脈において必要となる能力が明らかになっていない(④), 能力と実際のパフォーマンスの関係性が明らかになっていない(④)といった問題が存在することが明らかになった。