理科教育学研究
Online ISSN : 2187-509X
Print ISSN : 1345-2614
ISSN-L : 1345-2614
原著論文
協働的知識構築モデルを基軸とした理科授業デザインに関する研究
―小学校第3学年「かげと太陽」の実践を事例として―
後藤 大二郎和田 一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 59 巻 3 号 p. 367-377

詳細
抄録

本研究では,対話的な学びの在り方として,子どもが協働的により妥当な考えを構築し,それを学級の文化として定着させ,自らのものとして活用していく様態を明らかにすることを目的とした。Stahl(2000)の協働的知識構築モデルを小学校理科授業に援用し,理科授業を計画・実践した。Stahlの「協働的知識構築(Collaborative Knowledge-Building)」のモデルは,個人の理解と協働的知識構築の2つの分別可能な段階からなる循環的な過程である。このモデルは,それぞれの場面と活動を11のフェーズに分けて示している。実践した授業は,小学校第3学年「かげと太陽」の単元である。このモデルを援用した授業を分析した結果,子どもが協働的知識構築を行い,学級としての「文化的人工物(cultural artifacts)」を生成し,さらにそれを活用して「文化的人工物」を更新していた。また,授業者の支援により各フェーズの移行を促したり,個人の理解と協働的知識構築の過程を往復したりしながら,協働的知識構築モデルが成立していることが明らかになった。

著者関連情報
© 2019 日本理科教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top