理科教育学研究
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原著論文
資質・能力の育成に寄与する理科授業における形成的アセスメントの方略に関する研究
―小学校第6学年「植物の養分と水の通り道」を事例にして―
渡辺 理文杉野 さち子森本 信也
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2019 年 60 巻 1 号 p. 85-96

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抄録

本研究では,資質・能力の育成に寄与する学習評価を実現するために「形成的アセスメント」の実践を行った。実践した単元は,小学校第6学年「植物の養分と水の通り道」である。形成的アセスメントの方略は,FAST(2008)の提案を基にした。FASTは,効果的に形成的アセスメントを行うための五つの枠組みを提案している。それは,(1)ラーニング・プログレッションズ,(2)学習のゴールと成功規準,(3)記述的なフィードバック,(4)自己評価と相互評価,(5)コラボレーションである。この五つの枠組みを援用した授業を分析した結果,教師はラーニング・プログレッションズと学習のゴールに基づいてフィードバックを行い,子どもの学習を支援していた。また,子どもは教師や仲間とコラボレーションしながら,自己評価と相互評価を行い,学習のゴールへ到達を図り,植物に関する知識を構築していた。FASTの提案する形成的アセスメントの五つの枠組みを機能させることは有効であり,日本の理科教育に援用可能であることが明らかになった。

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© 2019 日本理科教育学会
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