理科教育学研究
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原著論文
月の満ち欠けの学習における仮想的身体移動とその支援
久保田 善彦中野 博幸小松 祐貴
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2020 年 60 巻 3 号 p. 557-568

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抄録

本研究は,視点移動を,空間的視点取得の仮想的身体移動概念から捉え直した。仮想的身体移動とは,自分の分身を心的に作りそれを移動させることである。先行研究では,身体行為によって仮想的身体移動が促進すると考えたが,十分な成果には至らなかった。そこで本研究では,従来のシステムにアバタを表示し,仮想的身体と重ね合わせる機能を実装した。具体的には以下を追加した。地球や月の立体モデルと観察者との間にアバタを出現させる,地球の観察地点までアバタを移動させる,アバタの視点(見え)を表示する。その結果,月の満ち欠けに関する理解が向上したことから,アバタと仮想的身体とを重ね合わせることで,仮想的身体移動を伴う空間的視点取得を促進した可能性が高い。幾つかの課題も抽出できた。例えば,旧新AR群のように異なったAR教材を連続して活用することの影響は不明である。より実験的な計画による調査が必要である。また,新AR教材を活用することで,引き剥がしや仮想的身体の移動が心的に行われたかについては,今回とは異なる課題の併用,MRI等を使った脳科学からの検討,思考発話法(think aloud)やインタビューによる検討が必要になる。

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© 2020 日本理科教育学会
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