2020 年 61 巻 1 号 p. 31-44
本研究の目的は,アーギュメントを小学校理科授業に導入するための学修プログラムを通して,教員志望大学生のアーギュメント指導に対する信念は,何に影響を受けるのかを明らかにすることである。対象は,アーギュメントに対して初心者である学生64名であった。学修プログラムは,山本・神山(2017)を参照した。信念調査は,アーギュメントの定義など基礎的な知識を受講した段階としてプログラム中Activity 1:アーギュメントの定義と意義についてのレクチャー後と,プログラムの全活動を終えた後の2回行った。この調査結果のうち,プログラム後により強くもつに至った信念について,プログラムを受講することを通して何に影響を受けたのかを分析した。その結果,アーギュメントが科学的な論理構造をもつことへの自覚,アーギュメントに取り組む際の学習者の能力や経験,意欲の状態,実際に授業を構想するという経験が影響していることが明らかになった。