学校安全には「自らの安全の状況を適切に評価するとともに,必要な情報を収集し,安全な生活を実現するために何が必要かを考え,適切に意思決定し,行動するために必要な力を身に付けていること(思考力・判断力・表現力)」というねらいがある。本研究では,理科の授業の中で,学校安全との総合化を目指し,このねらいに沿った教材開発及び実践を行った。具体的には大雨による災害を想定して開発した教材を小学校第5学年「B(3)流れる水の働きと土地の変化」で実施し,その教育効果を検討した。その結果,教材を活用した話し合い活動によって,子どもたちは,授業で習得した自然災害に関連する「知識・技能」を基に,自分たちの安全の状況について適切に評価したり,自らの行動を選択するために必要な情報を整理・確認したりできることがわかった。また,行動選択のための適切な合意形成には,知識を基にした状況判断や話し合いが不可欠であるなどの示唆を得ることができた。