2022 年 62 巻 3 号 p. 655-666
文部科学省は「科学技術人材等の育成を図る」ことを目的にSSH事業に取り組んでおり,SSH指定校では科学的探究活動を通して生徒の観察・実験に対する興味の育成を行っている。本研究では,SSH指定校における科学的探究活動の取り組みの探究的要素が多いSSH主対象クラスと,少ないSSH主対象クラスでない生徒の両方を対象とし,「観察・実験の実施」以降の科学的探究過程が生徒の観察・実験に対する興味に及ぼす効果を事例的に検討した。その結果,「観察・実験の実施」以降の科学的探究過程では,コースの取り組みの探究的要素に拘らず,観察・実験に対する興味をより深い興味へと変容させる可能性が示された。このことから,「観察・実験の実施」以降において,探究的要素が少ない学習過程であったとしても,観察・実験に対する深い興味を醸成する可能性が示唆された。