本研究では,理科における批判的思考の発達過程の一端を明らかにすることで,各発達段階における指導法への示唆を導出することを目的とした。この目的を達成するため,理科における批判的思考の発達検討質問紙を作成するとともに,小学校第6学年および高等学校第1学年を対象に質問紙調査を行った。分析の結果,『反省的側面』については小学校第6学年段階ではすでに形成されているものの,他の2側面については高等学校第1学年段階にかけて形成されていく可能性が示唆された。また,各発達段階における指導法への示唆として,小学校段階では「実験や学習のねらいとその達成のための手段を意図的に分けて考えさせる」「自分達とは考えの異なる仮想人物の予想や考察を検討させる」等の指導が,高等学校段階では「自身の一度出した結論をもう一度吟味させる」等の指導が有効である可能性が示唆された。