2010 年 11 巻 1 号 p. 13-18
核融合反応によるエネルギーを効率よく得るには、高性能のプラズマ(プラズマの密度と温度、プラズマの安定性、プラズマエネルギーの閉じ込め性能、プラズマ純度が高い状態)の生成と維持が必要である。我々が扱うプラズマはドーナツ型をしており、接線方向に数百km/s の早さで回転している。近年、このプラズマの回転が上記の高性能プラズマの実現に、重要な役割を担っていることが分かってきた。しかし、プラズマ回転の空間構造(分布)は、様々な物理機構(過程)からが決まってくる複雑さのゆえ、核融合研究の長年の課題であった。本研究では、独自の摂動輸送実験と解析手法を用いることで、その一つ一つの過程を切り分けて特性を調べるアプローチをとった。このアプローチにより、高速イオンの損失に伴うプラズマ回転の駆動機構、プラズマ回転速度と密度の積である運動量の輸送(拡散項と対流項)、プラズマが自ら回る自発回転について、個々の特性とプラズマ回転の空間構造(分布)に与える影響を明らかにした。