日本女性科学者の会学術誌
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抄録
包接能を利用した内毒素吸着剤の開発
坂田 眞砂代木村 かさね上園 康史戸所 正美
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2015 年 15 巻 1 号 p. 28-32

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抄録

注射用タンパク質水溶液およびワクチン原材料からのエンドトキシン(lipopolysaccharide; LPS)の吸着除去を目的として、高分子微粒子の開発を試みた。シクロデキストリン(CyD)の包接能を利用した新規な吸着剤として、CyDを1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)で架橋することにより、水に不溶なCyDポリマー粒子(粒径50~100 μm)を調製した。得られたCyDポリマー吸着剤と従来のカチオン性吸着剤とのLPS選択吸着能をバッチ法により比較した。その結果、カチオン性吸着剤は、生体環境下に近い水溶液の条件下で、高いLPS吸着能を示したが、LPSと同様に負に帯電するDNAも吸着した。一方、γ-CyD(キャビティ内径:0.85 nm)を20 mol%含有するγ-CyD/HMDI (20/80)吸着剤は、pH 6およびイオン強度μ: 0.05~0.2の条件下で、LPSを含有するDNA水溶液からDNAを吸着することなくLPSを選択吸着でき、試料中のLPS残存濃度は0.1 EU/mL以下であった。

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© 2015 日本女性科学者の会
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